支配の獲得時の段階取得に係る差益をわかりやすく【資本連結】

ねえ、日本の夏って暑すぎない？

いや、全然ない。

そんな顔しないで。まあ、そんなわけで、夏の間は死んでて全く書ける気がしなかったのだけど、ちょうど涼しくなってきた頃に受けた質問があったから、メメント経理に纏めておこうかなーと。

今日のテーマは段階取得。中でも、連結会計において子会社株式を取得する際に、一気に株式を全部買うのではなく、徐々に買ってついに50%を超えて子会社になったよっていう話ね。

一括取得は他の誰かが書いてくれたものを見てもらうことにして、わたしは段階取得の話がしたいの。当然、段階取得の方が難しくて、自分がどう整理したか纏めておきたくて。

ある会社の株式を50%を超えて取得するってどんなイメージ？

大抵のことは過半数で決められるからね。これって凄いことだと思わない？

親が変わるって言うパターンもあるよね。

その一大事のことを『支配の獲得』と言い、その日を『支配獲得日』と言う。まず、何となくでいいから、これが革命的な出来事なのだと位置付けると、後々の理解がスムースになるので、そう思っておいて。

段階取得して支配を獲得するパターンは大きく2つ考えられるよね。

まずは、親会社の持つ子会社株式をどう評価するか見ていくよ。

そうなんだけど、段階取得の場合は、その前に1ステップあるんだよ。

そうだね。支配を獲得するタイミングで、そこまでで買った株を全部売って精算して利確して、子会社株式として買ったよって感じ。

そして、その差額＝子会社として新たに出発する前の成果は、当期の段階取得に係る損益となる。

基準上は段階取得に係る損益だけど、ここで損ってどんな投資だよって感じなので益になることの方が多い

子会社側の方も面倒だけど、こちらは段階取得じゃなくても出てくる話で、資本連結のスタートでやるから特にコメントすることはない。

個人的には、投資→資本の順に考える方がわかりやすいと思うのだけど。どっちからやっても結果は変わらないから、今日はこの順でいくよ！

連結外なので特にすることはない

P社の個社決算でのS社株式は
150+1,000＝1,150 だけど

50%取得は時価で購入したと考えられるから

連結上は150の投有を終了して、子会社株式200にするイメージで、差額の50を当期の段階取得に係る差益にするよ

ここではS社の土地に価値があるとのことなので連結上で土地を400プラスする

これで準備が整ったので投資と資本の消去をするよ。ピックアップと逆順だけど、消去の仕訳はわたしも資本側から書くかなあ。

S社株式は①でプラス50しているから1200

日本では最長20年で償却するけど、今回は期末に取得したとのことなので来期から償却だから処理なし

連結PLは①で計上した当期の段階取得に係る利益50が出ているね

とはいえ翌期のためにのれん相当額の計算をしておこう

連結の場合は子会社株式を消去するからその時にのれんを分けるけど、持分法は一行連結だから関連会社株式に含まれたままになる。このケースだと、S社株式450の中にのれんの分も入っていて、それをのれんという科目にあえて分けないってこと。

じゃあ、早速見ていくよ。資本金500＋利益剰余金200＋評価差額は・・・

本当は考慮した方がいいけど、計算しやすい数字を考えるのが面倒になってきちゃった。気が向いたら、差し替えとくね。

S社の純資産は900。P社の持分は30％だから270がP社分だね

期末に取得とのことなので、まずは当期に持分法を適用しよう。

それにさっき計算したのれん相当の償却も行ってね

P社単体の最初の取得分は450だけど、持分法の適用により連結上は数字が動いているね

正解！

ここまでできればあとはさっきと同じだよ

仕訳がわからなかったら、ここまでを読み直してね

これ以上の説明は蛇足ってものよ

ちょっと難しい論点だったけど、最後まで辿り着いたよ。
お疲れさまでしたー。何か質問とかある？

まあ、書いてもいいけど、なくてもS社の純資産や仕訳の脇に書き込むくらいで十分かなと。箱を描きながら説明してもらえるならいいけど、出来上がった箱を理解するのは意外と大変だから。

それはある。でも、箱はフルサイズで書かないといけないので、このくらいなら箱なしで十分いけると思うよ。資本連結一年生が基本を理解するためなら、わたしも箱を用意するよ。