在庫回転期間とは? 在庫回転率との関係は? 【FASS検定 復習】

Rinka

FASSのテストの70問目過ぎくらいで、在庫回転期間を聞かれて、一瞬冷や汗をかいた。

Meme

知らなかったってことだね。

Rinka

うん。言葉聞いたことあったけど、必要に迫られなかったから覚えてなくて。与えられた数値でそれっぽい数字を作って、適当に選択肢を選んだ。

Meme

合ってたの?

Rinka

うーん。わからない。不正解となった主な試験問題の内容に、在庫回転期間とは書かれなかったけど、どうだったのかなあ。

§ table of contents -目次- §

在庫回転期間とは

まずは、在庫回転期間の定義と計算式を確認。

定義

在庫回転期間 = 在庫が1回転する(1回入れ替わる)のに掛かった期間

計算式

在庫回転期間= 棚卸資産 ÷ 売上高

在庫回転期間の定義は何となくわかっていたものの、何だか違和感のあるこの公式。

棚卸資産と売上高って関係なくない?

棚卸資産は期末時点に保有している仕入だけれど、売上高はその期の売上、仕入に利益が上乗せされたものになる。

そもそも棚卸資産もスナップショットに過ぎず、たまたまそのタイミングに在庫が多いか少ないかで変わってくる。

この計算自体が一定の方針を定める指標に過ぎないと考えれば、売上を使ってもよい気がするけれど、個人的にはキモチワルイ。

在庫回転率とは

せっかくなので、在庫回転期間と共によく出てくる在庫回転率も見ていこう。

定義

在庫回転率 = 一定期間内に在庫がどれだけ回転した(入れ替わった)か

計算式

在庫回転率 = 期間(1年の)売上原価 ÷ 平均在庫金額(棚卸資産)

別に回転率は1年でなくても出せるけれど、一般的には1年が多いかな。大体のことは1年で考えるので。

そして、ここでは売上原価が使われている・・・。

ここでちょっと気にしたいのは、在庫回転期間や在庫回転率の根拠はどこに示されているかということなのだけど、別にどこかに定義されている訳ではない。これが表記の揺れにつながっている。

例えば配当性向とかDEレシオとか指標系はどこかで決められているというものではない。

でも、会計基準や税法の世界で生きている人には、それっぽい言葉にちゃんとした定義がない方が馴染みが薄いかもしれない。

そんなわけで言葉の意味から大幅にズレなければ、好きなように使えばいいし、また覚えておけばいい。

私が受けた試験で、売上が記載されていたか、売上原価が記載されていたか覚えていないけれど、問題としてはどちらかしか提供しない。別解があると問題にならなくなっちゃうからね。

ただ、回転期間にはあまり注釈がないのに、回転率は原価を使ってねというリマークがついてることが多くて、どうしてなのかなー。

例:evianを仕入れてみよう

漆原凛香さんは、evianを愛飲しています。前は軟水のvolvicを飲んでいましたが、キリンがお取り扱いをやめてしまったので、違うお水をいくつか飲んで、硬水にチャレンジしてみることにしました。最初はムムっと思ったevianも今ではお気に入りですが、お茶を飲むことも多いので、1週間に750mlを1本〜2本くらい消費しています。

Meme

それ、自分で飲んでるから、売り上げなくない?

Rinka

うん。考え方だけなら別に売り上げなくてもいいかなーと。

12本2,000円、年間消費量は72本、年間のコストは12,000円です。ダースの箱買いで、最後の1本を開けると、次の箱を買っています。在庫回転期間と在庫回転率を求めてみましょう。

在庫回転期間

在庫回転期間= 棚卸資産 ÷ 売上高

ここでは売り上げはないので仕入の金額を使用。棚卸は1本の時も12本の時もあるので、間とって6本=1,000円にしておく。

在庫回転期間 = 1,000円 ÷ 12,000円 = 0.08年

ん? これだと全然わからない。12で割って1ヶ月単位、365で割って1日単位で確認すれば、意味が通じる。ここでは月で。

在庫回転期間 = 1,000円 ÷(12,000円÷12) = 1ヶ月

私は平均1ヶ月分の在庫を持っているということになる。参考までにマックスの在庫で計算すると・・・

在庫回転期間 = 2,000円 ÷(12,000円÷12) = 2ヶ月

箱買いした瞬間は、2ヶ月分のevianを持っているということがわかる。

在庫回転率

在庫回転率 = 期間(1年の)売上原価 ÷ 平均在庫金額(棚卸資産)

在庫回転率 = 12,000円 ÷ 1,000円 = 12回

この回数は一定期間内にどれだけ在庫が入れ替わったのかということなので、1年に12回入れ替わっているということになる。

普通は在庫がゼロになるような綱渡りな商売はしないので、このケースの在庫だとしたら、12本と1本になることは考えにくく、6本、それが極端でも4本〜8本くらいで維持していってるはず。

6本の在庫が1ヶ月で捌けるというのが適正かどうかというのを判断するのは、業種や商品によって異なる。

同業他社などと比較してどうかというのも目安になるし、これは水だから日持ちするけれど、牛乳だったら1ヶ月も在庫を持てないという風にも考えられる。

また、計算式からもわかるように、回転期間と回転率は結局同じことを言っている。表現方法が違うだけで目的は一緒。

まとめ

evianは最初から2ヶ月に一度12本仕入れて、在庫は一瞬綺麗になることがわかっていたので、そりゃそうだよという結果が得られただけだけど、目の行き届かない多種多様な在庫を管理する際に、余剰がないように、逆に在庫がなくて売上のチャンスを逃すことがないようにチェックするのが、在庫回転期間であり、在庫回転率となる。

在庫回転率や在庫回転期間は、現在の在庫が適正かどうかを確認するのに使用する指標

可能な限り売上原価を使用する。

棚卸資産の金額はスナップショットなのでとらわれすぎない。

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この記事を書いた人

経理女子。税理士有資格者。日商簿記1級取得。
年間の登録料の支払いに恐れをなして、税理士にはなれずにいる。多分、一生ならない。
どこからともなく現れたネコのような生き物メメにそそのかされて、経理の仕事に役立つ『メメント経理』の作成を始める。

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