消費税が掛かるかどうかの基本を知っておこう【消費税法 課税の対象】

Rinka

ビジネスパーソンに知っておいてほしい税金ナンバーワンは絶対に消費税だと思う。

Meme

もしかして凛香は消費税が好きなの?

Rinka

そんなわけないでしょ。前回、悪魔の税金って書いてるし。
えっと、法人税に関わるのはごく限られた人だけど、消費税は例えば営業の人が売り上げを請求するときに掛かるかどうか見極める必要があるから。

Meme

なるほど。今はそこそこ規模のある会社なら費用もエンドユーザーがシステムに入力するし、そこに消費税区分ってあるね。

実は会社がモノを購入する時に消費税を払うことは痛くも痒くもない。

ここで払った消費税は仕入税額控除として売上に上乗せして預かった消費税から引くことができる。

売上の消費税(仮受消費税)ー仕入の消費税(仮払消費税)=消費税の納税額

となる。法人だけでなく個人事業主も同様。

だから会社は消費税を負担するわけではないけれど、それを集める係をやらされている。

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消費税が課税されるかの判定

消費税の課税対象は、国内取引と輸入取引。初めてそう言われたとき、この2つを並列に並べられたことに違和感しかなかった。輸入取引の話は一旦忘れて、どのような取引が課税されるか見ていく。

国内において行うものか(国内 or 国外)

消費税は国内取引に対して課税されるので、国外であれば消費税は掛からない。

やったー簡単じゃんと思うと、これがそうでもなくて、事業者が国内と国外にわたって取引を行っている場合には、判定基準に基づいて判定していくことになる。いわゆる内外判定ってやつだけど、意外と難しいものもある。

資産の譲渡、資産の貸付け:資産の譲渡又は貸付けが行われる時に、その資産の所在する場所がどこかで判定。そんなの見たままで全く問題なしと思ったら大間違いで、船舶とか航空機とか世界を股にかけて動き回るものや、著作権とか特許権とか形のないもので悩む。

役務の提供:役務の提供がどこで行われたかで判定。こちらもエアメールとかネットでダウンロードとかわかりにくいものがある。

国外となったものは不課税とか課税対象外とか呼ばれる。不課税は付加税と音が被るし、非課税とも似てるしで、課税対象外は長いので、わたしは「対象外」と言ってることが多い。その会話の初出だけは「課税対象外いわゆる不課税」とこれでもかというくらい全部言って、そこからは「対象外」を使う。

でも、書くときは不課税かな。不課税、非課税、免税、課税でバランスよくて美しい。

事業者が事業として行うものか

事業者が事業として行う取引が課税対象。

なんか回りくどい表現だけれど、これはそれほど難しくない。

法人が行う取引は全て「事業として行う」もの。

個人事業者だと、その人がどの立場で行ったかで決まる。プライベートなのかビジネスなのか。

ある人が車を売ったとして、それが家庭で使用していた車なら事業として行うとは言わない。顧客訪問に使っていた車なら事業としてに該当する。

じゃあ両方に使っていた場合(家事共用資産)は?というと、それなりの割合で事業用と家庭用に分ける。1つのもので消費税が掛かる部分と掛からない部分が出てくるわけだけど・・・。まあ、明らかなものはちゃんとやるんでしょうね。

対価を得ているか

無償で行った取引の場合、消費税は掛からない。相続税・贈与税か、法人なら法人税の対象。

資産の譲渡等に該当するか

資産の譲渡、資産の貸付、役務の提供に該当すれば消費税の対象となる。

資産の譲渡はモノを売ることを言う。交換でもOK。商標権とか取引できれば無形資産も含まれる。

資産の貸付はレンタルとかリースとかをイメージするとわかりやすい。あとは部屋を貸すとか。資産の譲渡と同様に無形資産も入る。

役務の提供は、サービスの提供。サービスってわかるようなわからないような範囲の広いことばだけど、ここではお金をもらって何かをしてあげることを言う。モノを運んであげるとか掃除してあげるとか。歌手が歌を歌ってお金をもらうのも役務の提供。なお、わたしが歌を歌っても、事業者が事業として行っていないし、対価も得ていないから、資産の譲渡等かどうかを判定するまでもなく消費税は掛からない。

非課税取引に該当しないか

非課税取引は全部で13項目。これに該当すると消費税は掛からない。

  1. 土地の譲渡、土地の貸付け
  2. 有価証券などの譲渡、支払い手段などの譲渡
  3. 利子を対価とする金銭などの貸付け、保険料を対価とする役務の提供 など
    • 日本郵便株式会社などが行う郵便切手類の譲渡、印紙の売渡し場所における印紙の譲渡
    • 地方公共団体などが行う証紙の譲渡
    • 商品券、プリペイドカードなどの物品切手等の譲渡
  4. 行政手数料、外国為替業務などに係る手数料を対価とする役務の提供
    • 健康保険法、国民健康保険法などによる医療、労災保険、自賠責保険の対象となる医療など
    • 社会保険医療の給付等
    • 介護保険サービスの提供等
  5. 社会福祉事業などとして行われるサービスの提供など
  6. 一定の身体障害者用物品の譲渡や貸付けなど
  7. 助産 医師、助産師などによる助産に関するサービスの提供等
  8. 火葬料、埋葬料を対価とする役務の提供
  9. 一定の要件を満たす各種学校の授業料、入学検定料、入学金などの役務の提供
  10. 教科用図書の譲渡
  11. 居住用とされる住宅の貸付け(短期は除く)
Meme

13個って言っても1つに色々入っているものもあるね

Rinka

わ、びっくりした。寸劇ここにも挟む?
これは消費税法の別表第一に13に分けて列挙されているから一応合わせておいた。幾つに分けてもいいけど、一応、二号非課税と言ったりすることもなくはない。

この13項目は限定列挙、該当すれば非課税だし該当しなければ非課税じゃない。ちょこちょこ「など」って書いているけれど、これは適当にそんな感じというわけでなく、きちんと法律に「など」の詳細が書いてある。

非課税かどうかは消費税法やそれを補完する法令などで確認する

輸出免税について

ここまで来たら消費税が掛かる取引ということになるのだけれど、最後に輸出免税取引について考える必要がある。免税は消費税は課せられないと言えば課せられないけれど、0%課税とも言ったりして、一定の金額の計算上課税取引と同じ扱いになる。実務上は売上側は、10%課税、8%課税、免税、非課税、不課税をきちんと分けておく必要があり、仕入側は、10%課税、8%課税、それ以外でよい。

免税に当たるのはこんな感じ。

  1. 本邦からの輸出として行われる資産の譲渡、資産の貸付け
  2. 外国貨物の譲渡・貸付け
  3. 外国貨物等に係る荷役、運送、保管、検数、鑑定などの役務の提供
  4. 国際輸送、国際通信、国際郵便、国際信書便
  5. 船舶運航事業者等に対して行われる外航船舶等や国際輸送用のコンテナの譲渡又は貸付け、またその修理
  6. 船舶運行事業者等に対して行われる外航船舶等の水先、誘導、その他入出港若しくは離着陸の補助又は入出港、離着陸、停泊、駐機のための施設の提供に係る役務の提供等
  7. 非居住者に対して行われる鉱業権、工業所有権、著作権、営業権等の無体財産権の譲渡又は貸付け
  8. 非居住者に対する役務の提供 ただし以下は例外(免税されない)
  • 国内に所在する資産に係る運送又は保管
  • 国内における飲食又は宿泊
  • 上記に準ずるもので国内において直接便益を享受するもの

免税は非課税ほど厳格に記載されているものではないけれど、輸出取引などそれぞれの区分に応じて必要な書類があり、それがちゃんと保管されていないと免税が適用されない。

免税かどうかは輸出許可証などの書類が保存されているかで決まる

標準税率と軽減税率

増税の話題に事欠かない消費税だけど、現在の税率は10%。飲食料品や新聞など軽減税率が適用されれば8%。軽減税率でも多少の論点はある。

税率について厳密にいうと、消費税は7.8%で、地方消費税2.2%を合計して10%になる。軽減税率の方は6.24%+1.76%で8%。

プロフェッショナルな世界で両方まとめて表したいときは消費税等ということばを使う。日常で消費税等ということはほぼないけれど。

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この記事を書いた人

経理女子。税理士有資格者。日商簿記1級取得。
年間の登録料の支払いに恐れをなして、税理士にはなれずにいる。多分、一生ならない。
どこからともなく現れたネコのような生き物メメにそそのかされて、経理の仕事に役立つ『メメント経理』の作成を始める。

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